満天の星空になった日。 - WUGSSA感想
物販に備えて早起きをし、最寄り駅の始発電車に乗り込んだ。普段座れない電車は始発でも座れないのかと驚いた。当たり前だがこの日は平日で周りはスーツ姿の人ばかり。背中に「KAYA」と刻まれたウインドブレーカーに若干の照れを感じながら電車に揺られる。この日は今の会社に入ってから初めての有給休暇を使った。平日なのに私服でいることになんだか落ち着かない気分。果たしてこれが私服なのかという疑問は置いておいて。そんな落ち着かなさは今日という日がそうさせてもいたのだろうけど。
Wake Up, Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~ に参戦したので感想を残します。どんな文章を書こうか色々悩みましたが、いつも通りの文章にしていこうと思います。
彼女達の目標とその結果
この日は夜の本番を前に、FC会員限定の公開リハーサルがあった。たくさんのワグナーが素のWUGちゃんを観に集まった。市原公演の公開リハではジャージ姿を見せてくれたWUGちゃんだったが、この日は『7 Senses』の衣装を着ていた。そして曲としても2度、最初に1コーラスと最後にフル、披露してくれた。約束の地へ、約束の時へ - このSSAまで引っ張ってきてくれた曲への感謝が表れていたんじゃないかと思う。
公開リハで集まったわぐらぶ会員はおよそ2500人ほど。当然ながらこのSSAという箱はこの何倍もの人を入れられる。コールをしても、人がいない空間に声が吸い込まれていってるような感覚になった。言葉にせずとも大きな余白を感じていた人は多かっただろう。
昨年4月、WUGちゃんのブログを一から見直していた。自分がリアルタイムで追ってこれなかった彼女達のこれまでに、少しでも触れたかった。ワグナーとして追体験したかった。その中で吉岡茉祐さんがWUGの目標を載せていた。
ゆくゆくはワグナーでさいたまスーパーアリーナを埋めるっす!!
常に新しいことに挑戦してます@まゆ | Wake Up, Girls!オフィシャルブログ Powered by Ameba
大きい目標を口にする姿がかっこいいと思った。そうしてGreen Leaves Fes.(グリフェス)を控えていた頃、私は過去のブログでこんなことを書いた。
WUGちゃんが明確に定めた目標に対する結果をこの目で見てみたい。
「ジェラ/I-1 Club」のアウトロがかっこいい。 - blog141
Wake Up, Girls!というユニットがどこまで行けるのだろう、純粋な興味でもあった。そしてそれ以上に願望でもあった。彼女達が望んだ景色に、彼女達が喜ぶ姿が見たい、と。
そうしてグリフェス当日を迎えた。扉を開けてみれば会場には気にしたくなくても目に入る余白がそこにはあった。2階席通路まで来てくれた彼女達、その背後には幕で潰された3階席。しかし、それ以上に印象的だったのがあるWUGちゃんの言葉だった。
今日は「覚悟しててね」と言われていた。
けどステージに上がってみれば
こんなにも多くの人がいてくれた。
彼女達はまだ目標の途中だったのか、それとも今はまた違う目標を持ってるのか。WUGにハマって数ヶ月の私には分からなかった。ただ、この景色を喜ぶ彼女達にどこか寂しさを覚えてしまった。その一ヶ月後、Wake Up, Girls!の解散が発表された。
時系列を今に戻す。公開リハーサルを終え、相も変わらずブロマイド交換に励んでいた私は無事推しコンプを果たし、地下街に降りて友人達と遅めのお昼を取った。夕方になってそろそろ会場に向かおうと地上に上がったら、そこに広がる光景に目を奪われた。人がたくさんいたのだ。とまぁ自分の表現力の無さに笑ってしまうが、飾る必要もないその事実に私は感動したんだ。開場を待ちわびて列を成すたくさんの人。駅から向かって来るたくさんの人。広場でたむろっているたくさんの人。その誰もがこのSSAに来ている、同じ方向を向いている、WUGちゃんを観に来ている。そんな光景に目頭が熱くなった。
アリーナに入れば一面のサイリウムの光。先の公開リハでは埋まっていなかった席にはしっかりと光が見える。余白には人がいる。アリーナからスタンド、上階席までも。安心した。一時的であっても"完売"情報を信じられていなかったわけではない。幸せを掴むことには勇気が必要で、私にはその勇気が無かったのだ。 彼女達が目標としていた景色がそこにはあった。WUGちゃんの6年間の結果、それを見届けられた。来てくれた人へ、それに尽力してくれた人への「ありがとう」とWUGちゃんへの「おめでとう」の想いが募る。そして早く彼女達にもこの光景を噛み締めて欲しい、そう思った。
一曲目は『タチアガレ!』。吉岡さんが煽り、そこにワグナーの「Wake Up, Girls!」のコールが続く。花火の特効が開幕を演出する。距離がある為「オイ!オイ!」というコールが遅れて聴こえてきた。火薬の臭いもコールのずれもSSAという大舞台を感じさせる。終わりの始まり、それでも寂しさを感じさせない熱さがあった。最高潮でパレードは幕を開けた。
本編の感想はまた別に書きます。
En3. TUNAGO
「私達のやってきたことが東北に光を射し込んでいって欲しい。これからも私達の意志は変わらない」
そう言ったのは岩手出身の奥野さん。そうして披露したのは『TUNAGO』。
WUGのライブのアンコールラスト曲。そこにはいつだって彼女達の想いが詰まっていた。HOMEツアーを思い返すと、PartⅠでは『7 Senses』で約束の地へ、約束の時へ走り出した。Ⅱの『少女交響曲』は過去の肯定と至った現在を歌い、曲の強さは想いをまとめ上げた。Ⅲでは『極上スマイル』があったから笑顔で会場を後にできた。
そんな最後の場所に置かれたTUNAGOの意味を理解することは難しくなかったとしても、これからも繋いでいくことは簡単ではない。それでも彼女達は自らの形は変えようとも、これからも繋いでいこうとした。だからあの場所でTUNAGOを歌ったのだと感じた。約束をするように小指を立てながら。その姿を観て、託されたようにも感じた。
W-En. Polaris
Wake Up, Girls!コールは鳴り止まない。そんな声に応えてダブルアンコールが始まった。Polaris衣装を身にまとい登場した7人。私が初めて観たWUGちゃんもまたPolaris衣装を着ていたことを思い出す。思えばあの時はまだPolarisという曲が無くて(アニメ披露前)、WUGフェス2017の衣装というイメージが強かったが、いつしか綺麗な青とティアラはPolarisの代名詞になっていた。
WUGちゃんはそれぞれに封筒を取り出し、手紙にしたためたという想いを言葉にした。7人の挨拶はファミ通.comさんが文におこしてくれています。
さいたまスーパーアリーナに「ありがとう」が溢れる――Wake Up, Girls! FINAL LIVEリポート - ファミ通.com
彼女達の「ありがとう」にワグナーの「ありがとう」が続く。お互いに想いを伝え合った。そうして披露されたのは『Polaris』。アンコールラストが大切な場所とくればWアンコールは尚更だろう。HOMEツアーでは公演毎にWUGの歴代衣装を代わる代わる着てきたが、ラストの地"仙台"で彼女達が選んだ衣装はTUNAGOとPolarisであった。愛した土地と人への感謝の想いと、これからへの意志を伝えることを大切にしたかったのだと思う。
半年前のアニサマ2018と同じように彼女達はセンターステージでお互いを見合って輪になる。けどあの時と決定的に違うのはそれを囲むのが皆ワグナーであるということ。7GWやBtBがアニメの現地再現であったとしても、この日の景色は違う。この白景色を作る誰もがWUGを観に来た人たちであった。作中のキャラクターが連れて行ってくれた場所へ、今度は現実の彼女達がもっと素晴らしい景色に変えて見せてあげた。
そんな景色が吉岡さんの落ちサビで赤に染まる。アニサマでは点在するワグナーの位置を教えるかのようであった赤が、この日は会場全部がWUGの居場所になっていることを示していた、そんな赤であった。
吉岡さんはそんな赤景色を噛みしめるように一回転する。360度どこを見てもワグナー がいる。途中観客が途切れるステージ方向だって、あの裏にはスタッフがいる。仙台公演で山下さんの「スタッフさんは幸せですか?」という問いかけに、頭上に腕を掲げて答えた彼らもまたワグナーだろう。
吉岡さんの目にはどんな景色が映っていたのだろうか。彼女から見えるあの時の風景ばかりは彼女のものだ。そんなワグナーに囲まれた光景に感謝を示した吉岡さんは歌った。
満天の星空を、ありがとう
ここの本来の歌詞は「満天の星空になる日まで」だが、アレンジして「ありがとう」と言った。ワグナーでSSAを埋めた3月8日、満天の星空になった日だった。
ツアーで行動をずっと共にして来た友人を左に、恐らくこの日が初めてのWUGライブだったであろう人(連番者に所々教わっていた)を右に最後は肩を組んだ。Wake Up, Girls!においてPolarisがあった意味、もたらした結果はとても大きかった。Polarisがあって本当に良かった。
T-En. タチアガレ!
7人が捌けて間もない会場にコールが響き渡る。余韻などいらなかった。「名前を呼ばれるのが好きだ」と言ったセンターがいた。そんな彼女達に向けて、彼女達を求める声が声を呼ぶ。やっぱりWake Up, Girls!コールは最高だ。
うずうずしていたのは彼女達も一緒であったのだろう。そう経たずしてステージに現れた7人。トリプルアンコールだった。名前を呼ばれ嬉しがったセンターは笑顔を浮かべ、力強い言葉で声を求めた。その瞬間はもう滾りすぎて、彼女の言葉はあまり覚えていない。なのでファミ通.comさんの記事より一部引用。
泣いてるだけじゃWUGらしくない。
最後は笑顔で終わるべきだと私は思う。
そしてみんなももっとはしゃぎたいはずだ!
まだまだ声が出せるはずだ!
まだまだ声が出せるはずだ!
そんなもんじゃねえだろ、SSA!
もっともっと届けろーーー!!
聴いて下さい私達の始まりの歌!
タチアガレ!
流れるように繰り出された煽りが最高に熱い想いにさせる。間髪入れずに聴こえるイントロと最期で最高の「Wake Up, Girls!」のコール。とんでもなく気持ちよかった。私はライブ後の記憶力には人並みの自信はあるが、あそこからはもう何も覚えていない。楽しさも悲しさも寂しさも、どんな想いも全てを一つにまとめ上げてくれた。
開幕のタチアガレ!が終わりの始まりなら、この終幕のタチアガレ!は"始まりの終わり"に向けられた曲だろう。もう目の前には次章が、リーダーの言葉を借りるなら「第二章」が控えている。大切なものとのお別れでも、生きていかなければならない、立ち上がらなければならない。彼女達が自身に向けた決意と、私達に向けられた想いが感じられた。ステージから去っていく7人の姿が、特に奥野さんが最後の最後で涙を流していたのが印象的であった。
その後はお見送り会。ファイナルライブ後に接近イベントと聴いた時には驚いたけど、HOMEツアーですぐ近くまで来てくれたWUGちゃんだけに、SSAという広い箱では難しくても、せめて最後に少しだけでもという機会を設けてくれたんじゃないかとは思う。私は「ありがとう。」、そう伝えられる機会をくれたことが嬉しかった。
ライブ終了後は自分でも不思議なくらい晴れやかな気分だったけど、いざ近くに来てしまうと寂しさを感じてしまった。けどそれぐらいならいいかとも思えた。本当に楽しい時間をありがとう。Wake Up, Girls!にハマって良かったと今、そしてこれからも思うことでしょう。
初期からWUGを応援してきた古参ワグナーさん、ありがとうございます。初めての現場での「Wake Up, Girls!」コールに受けた衝撃は忘れません。この日SSAに来て下さったご新規のワグナーさんもありがとうございます。この景色を7人に届けられたこと感謝しかありません。そして私と同じ新参ワグナーもありがとうございます。一緒に走って来られて楽しかったです。
SSAの記事もそうだし、これからもWUGのブログはたまにでも書いていくでしょう。ひとまず、これまで観て下さった方々ありがとうございました。これからもたまに覗いてもらえると嬉しいです。以上です。