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好きなものの備忘。

「悔しい」の気付き - 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~感想

 劇場版『響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』を観てきた。

 

 ユーフォ作品に触れるのも久しぶり。『リズと青い鳥』、調べたらちょうど一年前だった。原作では本作とリズがあわさっているようだが、映画化に際して一本では難しいとのことで二本に分けたらしい。結果として先にリズがあったのが良かったのか、本編でリズを感じられるシーンの度に感動しまくってしまった。

 

 やはりユーフォはとても良い作品だ。最高に好きですね。

 

以下、ネタバレ有り

 

リズと青い鳥 

 課題曲が分かるシーン、曲名で「リズと青い鳥」と耳にした時点でグッとくるものがあった。そうして本編終盤ではコンクールでの演奏シーンが初めて描かれたわけだが、そこからはもう感動でずっと泣いてました。

 

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 2人がステージで並んで演奏をしている。これだけのことがどれほどまでに尊ばしいことか。リズを観た方誰しもが同じ感情になったのではと思う。 

 

 何と言ってもはみぞれのオーボエソロ。映すカメラはみぞれの寄りから天井の照明へ、そして遠ざかるように上空からの引きで全体を映す。それが鳥瞰図のようで、まるでみぞれの姿を喜んで見ている青い鳥の視点に思えた。

 

 『リズと青い鳥』の良さは繊細さを伴うものなので、言語化することで野暮ったくなってしまうこともあるし、何より言語化自体がとても難しい。脆さと細さを帯びている作品だったように思う。そんな二人を描いた線の細いキャラデザインのリズだったが、誓いのフィナーレではユーフォ作品本来の線で描かれることとなり、それが力強さも表したかのように演奏シーンは圧倒される出来であった。

 

 ちなみに自分のリズの感想記事はこちら。宜しければ。

 

 

■「悔しい」の気付き

 印象に残ったシーンは何と言っても久石奏が「悔しい」と吐き出したところ。コンクールのオーディションで、夏紀だけが選ばれたのではなく、奏だけが選ばれたのでもなく、夏紀と奏ふたりともが選ばれた。これは実力は有りながらも嫌な過去を持つ奏としては最も望ましい結果だっただろう。それなのに全国に行けなかった。だからこそ「悔しい」。

 

 これは久美子の「悔しい?」という問いかけに対しての返しだった。悔しいなんて聞くまでも無い当たり前なことなのに、ずかずかと入り込んでいったのは久美子らしい無意識さも感じる。しかしここは先輩として意識的に奏にした質問だったのだろう。

 ユーフォに真剣になったのは高校からだと言う久美子。そのきっかけは中学最後のコンクール。隣で涙をボロボロ流しながら悔しがる麗奈を見て、気付きを得たからだった。しかし「悔しい」という麗奈の言葉に、その時の久美子はなぜ彼女があれほど悔しがるのかまでは理解できていなかった。

 しかし全国をかけた関西大会直前、あるパートに苦戦し吹けなかった久美子は「上手くなりたい」を連呼し、泣きながら駆け回った。その末に「悔しい」という言葉が自らの口を通して吐き出された瞬間、久美子は実感した。あの時の麗奈の「悔しい」を。

 そんな久美子だからこそ、奏に感情を吐き出させるように「悔しい?」という問いかけを投げかけたのだろう。「悔しい」と答えた奏が感情いっぱいに流した悔し涙がとても綺麗だった。部長が言っていた様にあの日が次のコンクールへの一日目となったのだ。

 

 

 Cパートではまさかまさかの久美子〇〇という事実に、次の物語が観たくて仕方ない状態に。これからもユーフォという作品をささやかながらでも応援していきたいと思います。以上です。

 

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