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好きなものの備忘。

Polarisの輪で彼女達は何を見るか。

 「SSAに忘れ物がある」そう言ったWUGちゃんがいる。その忘れ物とは"涙"だった。しかもとびっきりきれいな涙。


 アニサマ2018"OK"。不思議な空間だった。WUGを観に来た人がどれだけいるのか分からない中で、彼女達は堂々とした姿をしていた。そして知名度が特段あるわけではない、内輪的とも言えるような2曲を歌った。フェスで勝ちにいったわけではない、想いを大切にしたような選曲。これまでWUGを見守ってきたアニサマもサプライズの演出で餞別を送る。「皆から"OK"と言ってもらえたように感じた」と喜び、涙する彼女達。そんな涙を流しながらでも凛と歌い抜く姿を「きれいな涙」と言った人もいた。彼女達は2曲ながらこの日のアニサマの特異な存在として観ていた人の心に残った。3月8日、そんなWUGちゃんが忘れ物を取りにSSAまで戻ってくる。

 


 私にも忘れ物、というより宿題のようなものがあった。

 

 

 「人生で最も多く生で聴いた曲は?」そんな質問があったとしたら今もこれからも私は「Polaris」と答えるだろう。先に書いたアニサマ2018でも披露し、HOMEツアーでは33公演全てで歌った唯一の曲でもあり、彼女達はこの一年で40回以上も披露している。全てでは無いが、それだけ自分が生で触れてきた曲だからこそ、過去の自分が覚えた疑問に今の自分が答えたいと思う。

 

 

 

 曲は冒頭からサビで始まる。そんな彼女達の背後の液晶に映るのは7色の星。これは北斗七星にWUGちゃんを重ねて表しているものだろう。北斗七星は北極星を探すためのものであり、彼女達の眩しさや輝きが、確かに私達の道しるべとなって進む方向を導いてくれたのだ。
 そしてサビが終わりメロに移る。なんとここでこれまで私達を照らしてくれていた7色は姿を消してしまう。心に影を落としたかのように歌詞にも「不安とイライラ」「波がのみこむの」と現れる。これは彼女達の心情だろうか。そんな中、夜空に目をやると眩しい7色の星はいなくとも、代わりに無数の白い星が中心を囲むようにして輝いていることが分かる。ひとつひとつは大きくないかもしれないが、集まることで確かな光となっている。彼女達が何かを諦めたり、何かから逃げたくなった時にでもこれらの白い星達は支えになっていたのだろうか。進むべき、もしくは戻るべき場所を示していたのだろうか。これらがWUGちゃんの言うところの「君」、ワグナーのことである。 
 その後のサビでは元気を取り戻したように、また7色の星が輝き出す。このようにPolarisの映像演出ではサビとメロで星の輝きが切り替わっていく。ある時はWUGちゃんの輝きが私達の道しるべとなって、またある時は私達の存在が彼女達の支えになっていたのかもしれない。だってボクら君を照らすPolaris、そして、だって君もボクを照らすPolaris。この言葉を「作詞:Wake Up, Girls!」として言ってくれているのだからこんなにも嬉しいことはない。

 

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 また、HOMEツアーのディスプレイは間隔を空けて複数置かれていたこともあり、何も置かれていない中心部、肝心の北極星が映ることはなかった。それはそうであった。お互いがお互いのPolarisなのだから映す必要がないのだ。

 一方でそんな中心部を映したライブイベントもあった。それがアニサマ2018だった。大きな画面は答え合わせのように中心部分を映した。しかし見てみてもそこには何も無かった。あそこにはきっと何か大切なものが、とびっきりの北極星があるのかと思っていたが、実は無かった。そうじゃなかった。本当に大切な存在は身近にいた。こうした気付きを得たことこそが、WUGちゃんが歌に乗せたかったことなのではないだろうか。

   ツアーで近くまで来てくれるWUGちゃん、近くにまで行っていいワグナー。そんな両者の姿を投影するかのように満天の星々に囲まれるように浮かび上がる7色の星がとても素敵だ。

 

 こうしてサビとメロで7色が光ったり消えたりするが、サビでもないのに*1夜空に7色が灯る箇所がひとつだけある。それが間奏での輪になるシーン。アイドルとして観客を笑顔にさせようと、笑顔を届ける彼女達でも、この時ばかりは彼女達だけの時間を楽しんでいるような、不可侵な空間を作り上げる。そんな彼女達はあの時何を見ているのだろう?

 

 「自分を持っていて尊敬する」「あなたがいたから乗り越えられた」「泣き顔がかわいい」「あなたの未来は絶対に明るい」「何度も嫉妬したよ」「あなたがリーダーで良かった」「あなたがセンターで良かった

 

 KADODEでのWUGちゃんからWUGちゃんへのメッセージを観た時に、輪になっている間も7色が光り輝く理由を理解することができたように感じた。あの時の彼女達は「周りのメンバー」を見ていた。それはきっと今までを思い出しながら、諦めたり逃げ出したりしたくなった時でも、メンバーがいたから頑張れたのだと。鼓舞し合ったり、慰め合ったり、時にはぶつかり合ったりしてここまで来たのだと。最近よく彼女達が口にするのを聞くが「6年間誰ひとり欠けることなくここまで来た」ことは全くもって当たり前なことじゃない。

   お互いがお互いを尊敬し合う。WUGちゃんお互いがお互いのPolarisでもあったのだ。あそこで光り輝く7色にはそんな意味があるのだろう。それを思い返すように彼女達はお互いを見合って輪を作る。

 

   Polarisの振り付けを考えたのは永野愛理さん。そんな彼女が愛知公演で「星座の星々は別に星座になりたくてなったわけじゃない」と話し始めたのを思い出す。星座というのは人間が後付けしたものであり、言い換えると後から意味がついたものだという趣旨のことを話した。メンバーのみんながみんなアイドルになりたかったわけではなかっただろうし、最初から気が合っていたわけでもないだろう。バラバラで、関係性に意味が無かった。そんな7人が集い、今では意味を持つ7人となった。Wake Up, Girls!であることに大きな意味があるのは、今だからこそ私達も強く実感していることだろう。

   ちなみにPolarisにおいて、会場はワグナーのサイリウムによる白景色を観ることができる。そんな白が一瞬で真っ赤に変わるのが落ちサビ。これは座間公演で、吉岡茉祐さんのソロパートに合わせて赤を灯す人達に、彼女が反応したことが契機となって、それ以降あの時間だけは会場が赤で染められるようになった。

   そして色が付いたように意味も付いてきた。作詞:Wake Up, Girls!としてPolarisの歌詞に言葉を紡ぎ合わせたWUGちゃんだったが、その影の功労者というのが吉岡さん。メンバー達と話し合って、想いを汲み取り、言葉達をまとめあげて歌詞にし、Polarisを作り上げた。落ちサビの赤景色にはそうした彼女への感謝や労いの想いも詰まっているのだ。そんな落ちサビでの歌声と、大舞台での景色を楽しみにしたい。

 

 

   ということで宿題を書き終えます。何回も見たと前置きしながらとても当たり前な帰結を迎えてしまった。なんにせよ心置きなくSSAに臨めます。

   約束の地までWUGちゃんにありがとうを伝えに、想いを感じに、約束の時の表情を目に焼き付けに行きます。楽しみましょう。以上。

 

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*1:サビかもしれない