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好きなものの備忘。

Beyond the BottomとWUG横須賀感想

 Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME - ~ PART Ⅱ FANTASIA ~神奈川・横須賀公演に昼夜で参戦したので感想を残します。

 

■FANTASIAに現実を見る

 間が空いたからか実感もあまり湧かぬままに"FANTASIA"の3箇所公演を終えた。このFANTASIAを振り返るとやはり開幕3曲に圧倒されたことを思い出す。

 ”人々は生きることに疲れ、夢を諦め、想像する力、Imaginationが失われていた”、そんな黒に覆われた世界で7人の妖精は巨悪であるドラゴン討伐の為に伝説の勇者を探し出し、想いを託す。まゆを始めとした個性豊かな4人が集い巨悪に挑むもドラゴンの前に力及ばず、そこに加勢するべく現れたのは"タイトロープ ラナウェイ"の3人。世界中のワグナーからWake Up, Power!を集め上げ、8人の勇者はドラゴンを倒し"Imagination"を見事取り戻した。そうして彼女たちは武器を持ち替え、また新たな冒険に出るのであった。

 ドラゴンはヤマタノオロチを意識しているのか、8つの頭を持つものが描かれていた。それぞれの頭に色を持ち、WUGの7色と灰色じみたもう1色を含めての8色。普通のドラゴンでなくこうしたのは、ドラゴンを自分に見立てた存在としているからだろうか。"勇気でも構わないから ずっと一つ手にいれたかった"と歌っていた『outlander rhapsody』だが、最後には見事ドラゴンを討ち果たす。そして"地図やコンパスは要らない 胸に勇気があればいい"と冒険に出る『リトル・チャレンジャー』。ドラゴンを倒すことは自分に打ち勝つということ、それはすなわち勇気を持つこと。勇者が冒険者になり、また新しい旅へと出かける。こう考えるとこの流れは決してただのおとぎ話に収まった話ではなく、現実を生きるWake Up, Girls!の物語と捉えることができるであろう。そしてこの物語の登場人物として描かれていたのは彼女達7人だけじゃなかった。私達ワグナーもまた8人目の冒険者として歩き出す。
 開幕"3"曲とは言ったが自分の中での捉え方は開幕"1+2"曲のイメージ。やはり『スキノスキル』だけは特別の位置付けとなっているだろう。参加型の後続2曲とは違って、紗幕がステージと客席に一線を画するものかのようで、幕の先に不可侵な世界を作り出す。そして半透明な映像に包まれたWUGちゃんはとても幻想的で、本当にそこにいるのかどうかも分からない不思議さ。そして何よりスキノスキルの踊り子風衣装が雰囲気作より一層高めるものになっていた(本ツアー初の1曲使いも贅沢)。こうした特別な演出で、まさに「妖精と、妖精に誘われた勇者達」という構図が出来上がっていたことと思う。
 PartⅠ"Star It Up, "の開幕3曲はパーティの始まりを演出し、会場の温度を一気に最高潮まで持っていった。対してPartⅡの始まり3曲は"FANTASIA"の世界に惹き込む流れを作り上げ、その中に現実とのリンクも感じさせ考察に富むものだった。どちらも凄みを感じるもので、想像する力、Imaginationの素晴らしさに感服する。

 

 

Beyond the Bottom

 この日は昼公演前に『Beyond the Bottom』のジャケット撮影地まで足を運んだ。

 

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 会場から車で30分。この日は生憎の雨模様だったがそんなことは気にしない。雨にも負けず風にも負けず、かやたん推しなので。大好きなBtBの聖地。絶対行くと決めていた。

  

Beyond the Bottom *CD+DVD

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  何かに迷い、何かを諦めた少女達がアイドルというきっかけでひとつの場所に集い物語は始動する。光に見出され道が開けたように見えたが、結果は思うようにはいかず彼女たちはまた立ち止まってしまう。そんなところで「WUGとは何か?」を見つめ直し、立ち上がる。物語は再起し、彼女たちがたどり着いたのが『Beyond the Bottom』。底から這い上がってきた彼女たちはその末の成功を歌うわけではなかった。"未来の永遠さに僕達は苦しむ"、そんな苦しみを受け止め、悩みを肯定してくれるかのように言葉を曲に乗せる。これからも彼女たちはまた立ち止まって悩み、そして一歩踏み出していくのだろう。実際に新章ではそうした物語が描かれていた。しかし彼女たちはこれを決して否定せず肯定してくれるのだろう。"WUGらしさ"はこれだと答えを返すのは難しいことだけども、こうしたことが"WUGらしさ"であり彼女たちの魅力の一つであることには違いない。

 

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  ジャケットを撮影したのは3年前の11月中旬だったようだが(追記:撮影はもっと暖かい時のようですね)そこに映る田畑は一面土色だった。けどこの日見た景色は、農作物が変わったのか分からないが、見渡す限り一面の緑色。仮に今BtBのジャケットを撮るとしたらこの地は採用されていなかっただろう。あの何もないように見えた土地でも、今ではこうして活き活きとした姿を見せている。

 

 道に迷ったり混んでたりで会場着は開場20分前ぐらいになってしまった。大阪遠征では慣れない新幹線に戸惑ったなぁ、盛岡から深夜バスで帰ってそのまま仕事行く無茶したなぁ、今日もギリギリであくせくしちゃったなぁ、など夜公演では『雫の冠』を聴きながらPartⅡの遠征を思い出してしみじみとしていたらちょっと泣きそうになった。そんなところで曲が終わったのだが、なんとWUGちゃんが次の曲の配置につかず何も言わずにステージからはけていってしまった。動揺しているところでスクリーンに映し出されたのはWUGちゃんのこれまでのライブ映像。始まりの1stから2nd、そしてこのHOMEツアーまでも。私はWUGのライブではあまり泣かない方なのだが(WUGちゃんが泣かないので)、この日は涙腺が緩んでいたのか、2ndツアーのダイジェストあたりから涙が止まらなかった。それはこの後に何が来るかを察してのものでもあったのだろう。しかし待っていたのは私が察した以上のものであった。

 

 

 "in"が出てからの緊張の瞬間がとても長いように感じた。続けて出た"さいたまスーパーアリーナ"の文字を見た時にはあらゆる感情が高まって声となりそして涙が止まらなかった。私は最後の"約束の地"は武道館であって欲しいと以前から思っており、それはSSAという箱の大きさに対して考えることをやめてしまっていたこともあるし、アニサマというSSAでのWUGちゃんの素晴らしいステージと観客の反応にある種満足感を得てしまっていたからだった。そんな不肖な自分と違って、WUGに携わる方々が諦めないで下さり、WUGちゃんとワグナーの想いを現実にしてくれた。本当に、本当に良かった。未だに想いが溢れ続けているが、ここではただ感謝を残すこととしたい。

 

 (クリック/タップで再生)

 

 会場には拍手と歓声が鳴り止まなかった。そうしたところにステージに出てくるWUGちゃん。身に纏うは『Beyond the Bottom』衣装。私はアガペーで崩れ落ちないタイプのオタクだが、この衣装が目に入った瞬間は流石に崩れ落ちてしまった。しかしこのステージはしっかり見届けないとと体を起こし、網膜に焼き付けようとした。BtBと言うと私は去年のWUGフェス2017での青山さんの言葉が忘れられない。歌い終え、サイリウムが作る一面の白い景色に囲まれて「私たち、天使みたいだよ!」と言った。今日はSSAの発表の時に白い羽根が落ちていく様子が、スクリーンや壁と階段の液晶に映った。あれはひとつにWUGちゃんを天使になぞらえて、飛び立つ時に落ちる天使の白い羽根を意味していたのではと思う。順風満帆じゃなかったと聞く彼女たちのこれまでの物語。しかしそれらがやっと実を結び最後の最後に、4年ほど前に誓った約束の地へ、そしてその先へと飛び立つ。"Beyond the Bottom"という物語。素晴らしい曲に出会えたのだと強く実感した。

 曲が終わり袖にはけていくWUGちゃんに最大級の称賛の拍手と歓声が送られ、長い間鳴り止むことはなかった。私はと言うとずーっと泣いてて大田さん状態だった。そうして会場内は次第にWUGちゃん達に対する様々な想いが声になり、「Wake Up, Girls!」のアンコールに包まれる。アンコールは合わせるものでもなく、すぐしたい人や浸ってからしたい人、それぞれの求め方があるのが良いと私は思っているが、この日のアンコールの流れは何事にも勝る素晴らしいものだったと言える。やはりWake Up, Girls!は最高だ。

 

 

追記(2019/04/30):FANTASIAについてあらためて書きました。

 

 

 

■「新参も古参も関係ない」

 その後アンコールに応えてステージ上に現れてくれたWUGちゃん。いつもは曲をすぐ披露するところだが、この日は私たちの想いを聴き、そして彼女たちからも言葉を伝える時間を取ってくれた。彼女たちも大きな箱に対する不安な顔を覗かせる面は多少はあったが、自らを奮い立たせ意気込みに変える。そしてワグナーもその心意気に応える、そんな決起集会のようにも思えたこの日のアンコールタイム。

  やはり『セブンティーン・クライシス』は岸和田のBtBショック後もお世話になったが、絶対に楽しい気分にさせてくれるし、この日はいつも以上に高木さんが煽ってくれて盛り上がりを見せた。『ハートライン』は岩手公演で「中合わせに歌うのがエモいんじゃん!」と言っときながらもこの日はお互い見つめ合いながらよぴまゆコールの中歌っちゃうまゆよぴを観て最高に笑顔になった。

 

 そしてMCへ。確か青山さんだったと思うが「自信を持たないとワグナーがついてこない。ドシンと構えないと!」と自分と他のWUGちゃんに言い聞かせるようにしていたのがかっこ良かった。そしてラスト曲の前では吉岡さんが会場を煽るが、返ってくる声が足りないようで「んなもんでええわけないやろ!!」とワグナーを一喝。大宮公演の「こいやぁ!」を思い出して熱くなりましたね。そう、もう彼女たちはSSAで単独ライブをやるアーティストであり、私達はそのファンなわけなんですよね。FANTASIAらしく勇気を持ってこの会場を後にしなくてはいけなかった。WUGちゃん達のこれらの言葉があったから、私の中にあったSSAという大きな箱に対する一抹の不安といったものをあの場で熱い想いに変えることができたのだと思う。そうして披露された『少女交響曲』が熱気と想いをまとめ上げて横須賀公演、そしてFANTASIAを締めくくった。

 

 今日は青山さんの「新参も古参も関係ない」という言葉に救われた方も少なくなかったと思います。以前の握手会で、私が「新参ですけどこれから応援します!」的なことを伝えたら「それなら今日からお前は古参だ!」と言われて、あの時はよく分からなくてとりあえず笑い合ったのだが、今思えばそれが彼女の言う"関係ない"からくるものだったのだろう。来年3月8日、リーダーや他のWUGちゃんの言葉を信じてぜひSSAまで足を運んで欲しい。こんなブログの最下部で言っても仕方無いので、これからは自分がやれることをやっていきたい。

 

 市原から横須賀まで体調崩さずWUGちゃんに着いていくことができて、何よりWUGちゃんが今元気な姿を見せてくれていて、ひとまず安心している。PartⅢも全公演参加予定ですが、時間的に毎公演ブログ書くのは難しそうです。ただ一公演でも多く書いていきたいと思います。ここまで感情が溢れ出るものを追うこともないので。そんなこんなで少なくともWUGについては年内最終ブログです。いつもご覧頂いてる方がいましたらありがとうございました。来年もどうぞ宜しくお願い致します。以上。

 

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